【上海ビジネス戦略】上海のFANCLとDHCの成功事例からビジネス戦略を考える
上海で成功を収めてきた二つのビジネスモデル
万博も終わり、中国熱も終息を向かえるかと思いきや、更に熱さを増していく中国。誰もが知っている様な大企業から、実力を持っていながらも名は知れ渡っていない中小企業までありとあらゆる企業が中国へ進出していっている。しかし文化・習慣が違う国だけに、ビジネス展開は至難。日本で成功を収めてきたからといっても中国でそれが通用するとは限らない。郷に入れば郷に従えと言われているだけに、外国ではその土地に沿ったビジネスの展開をしていくことが望ましい。実際、お互いのビジネスに於ける観点の違いから両者の間に摩擦が生じたという例も沢山見てきた。そこで、今回は中国(上海)で成功を収めたFANCLとDHCのビジネスモデルを例にとり、上海ではどの様なビジネス戦略が有効なのかを述べていこうと思う。
1.{成功事例1}FANCLのビジネス戦略について
2004年8月 中国進出1号店となる「上海店オープン」
FANCLの店舗は浦東のスーパーブランドモールの中に存在する。ブランドモールに出店したことで、上海では高級化粧品のイメージが定着し、ブランド力が増している。価格設定は日本より高めで、1.2倍から1.5倍程度である。しかし、「高いからこそ肌に良いということが信用できる」という意見も存在することから、高価な化粧品は必ずしも上海の女性にとって高嶺の花ではないということが言える。
参考:http://www.stockstation.jp/200706suzuki/
上記のサイトによると、FANCL以外にも資生堂の化粧品も価格設定は日本よりも些か高めに設定されている。「高い商品は信頼できる!」というブランド力がモノを言う消費マーケットが上海では確立してきていると言える。このことから、中国、特に上海では、いかに高価付加価値のあるブランドイメージを浸透させられるか否かで、ビジネスの勝敗が決まってくると言える。また、ファンケルニュースレターVol.18『中国でファンケルが選ばれる理由』では、このように述べられている。
『―――日本では「安心・安全」からスタートしたファンケルの無添加化粧品ですが、無添加だからこそ将来にわたる本当の素肌美を実現できるということを、丁寧に伝えてきた結果、中国をはじめとしたアジア市場で、感度の高い消費者の共感を得ることに成功しています。―――』
このことから、中国、特に上海でのビジネス戦略に於いて、
- 1.高価付加価値のあるブランドイメージを浸透させる。
- 2.「安心・安全」という商品が持つイメージを地道且つ丁寧に伝える。
という、以上の2点が重要になってくると言える。また、商品は安ければ必ず売れるという訳ではないということ、とりわけ化粧品に於いては、ある程度の高価設定が消費者に安心感を与えるということを認識しなければいけないのである。かと言って、高ければ何でも売れるという訳でもない。食品を例にとると、日本で売れている手のひら程度のお菓子が、上海で販売するとなると関税も加算され、商品一つ何十元、何百元もするというケースがある。もちろん普通に店頭に並べるだけでは全く売れない。同じ金額を出せば、中国地元のお菓子が沢山買えるからである。そこで売り手はその商品が何故これだけ高価なのかということを買い手にしっかり説明しなくてはならない。買い手にろくに説明もせずに、ただただ「日本製」「日本原産」というコピーだけを担いで店頭に並べられるから売れないのである。「中国で食品程売れないものは無い」と謳われる所以はここにある。(確かに一番難しい分野ではありますが。)
出典:http://www.fancl.co.jp/corporate/(ファンケルニュースレターVol.18『中国でファンケルが選ばれる理由』)
2.{成功事例2}DHCのビジネス戦略について
2003年7月 上海蝶翠诗商有限公司(上海DHC)がDHCの子会社として上海で設立
2005年1月 通信販売開始
2006年6月 売上高が1億円を突破
2007年4月 最初の直営店舗を成都で開設
※2005年から通販で土台を築き、2007年から直営店舗をスタートさせていることが分かる。
参考:DHC中国公式サイト
前項では高価なブランドイメージの浸透と、「安心・安全」という商品が持つイメージの浸透という観点から、FANCL化粧品を例にとり考察した。では、本項ではDHCを例にとり、マーケティングの戦略を紹介する。
中国市場調査研究所は、中国の80、90年世代のターゲット層の特徴として、
- 1.ネット依存度が高い
- 2.スターやカリスマに感情移入し易い
- 3.消費力が高い
という点が挙げられると述べている。
また、同研究所の調査で、大学生の消費行動分析に於いては、
- 1.目新しさを求める
- 2.新しい消費情報の吸収に意欲的
- 3.価格への敏感度が低い
- 4.衝動買いし易い
という見解が出されている。つまり、このターゲット層に対しては、以上の4点の特徴をよく把握して、STP分析を行っていかなくてはならない。DHCでは、中国のウェブマーケティングを上手く利用しビジネス戦略を成功させた。その背景には、フラッシュ、動画、音楽、ゲーム、BBS、チャット、SNSに加え、新しいコミュニケーションの手法や技術が日進月歩のように進化を遂げているという事実、そして消費者のネット依存度が高いという事実がある。
DHCのメインターゲットは若年層であるが、その中国の若年層はインターネットや携帯電話の普及に伴って成長してきたのである。そこでDHCは、ネットと携帯電話を活用する通販の強化を行った。そして2007年には、直営店舗がスタートしたのである。それに伴って、DHCでは、
- 1.現地でのキャンペーン実行を日々、モニターしていく
- 2.オンラインの顧客データ管理と顧客行動の分析
- 3.モニターニングと報告体制
- 4.全国都市をカバーする現地会社との提携
というクオリティ・コントロールを常に行っている。また、DHCは、今後はネットコミュニティーやエンターテインメントサイトとのタイアップ強化も提案している。中国のネット人口は今や3億人、携帯電話人口は6億人を超える。同時に中国の消費を支える若年層(80、90年世代層)は、ネットと携帯電話の主力と言える。そして、中国で企業のマーケティング活動はネットキャンペーン、ブログ、SNSの活用が一般的である。モルガンスタンレーによれば、2010年の中国のネット広告は20億ドルの市場規模になるとも言われている。つまり、端的に述べると、中国でビジネス戦略を成功させるには、ウェブマーケティングが必要不可欠であるということが言える。これは中国だけに当てはまることではないが、WEB1.0からWEB2.0に変化した今後は、一層のネット活用が必要となってくると言える。
3.最後に
FANCLもDHCも、中国(上海)でのビジネスで綿密な市場調査や徹底した「安心・安全」の追求を行い成功を収めてきた。中国、とりわけ上海では、消費者に「高価=安心」という見解が根付いていることから、中国(世界)で成功する為には、まず日本国内で高い価値を創り出すことが極めて重要であるということが言える。また、国内の市場は飽和状態と言われているのに対し、中国の同市場はまだまだ成長の可能性を秘めている。FANCLが続けて行ってきた“無添加”を武器とした「安心・安全の提唱」、そして、DHCのウェブを上手く利用したマーケティングが中国(上海)を舞台としたビジネスでの成功の決め手と言える。
参考:http://www.jpubb.com/press/119110/(ファンケルニュースレターVol.16『アジアから世界へ』
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